デジタル庁に電力系ISPと似た匂いを感じる

僕は今の会社に入る前に九州の電力系ISPに勤めていた。電力系ISPというのは各地の〇〇電力が大体ISPの事業をやっていて、電線の電柱を持っていることから、通信網の整備にシナジーがあり、足回りから自社でやっているところが多い。

僕がいたISPは部長以上はほとんど電力会社からの出向で、数年で電力会社に帰っていくのが通例だった。

ISPというのは先に述べた通信網の整備から、FTTHの認証や、メールサービスの提供など、実はL1から、L7まで文字通りのフルスタックな仕事がある。特にL2~L4は信じられないほどのトラフィックを経験できるのと、通信を落とすとIP電話の緊急通報が落ちたりして、最悪、人が死ぬので絶対に落とせないこともあり、とてもチャレンジングな仕事だと思う。また現在もそれを支えてくださっている方々には日々本当に感謝しています。美味しいインターネットを有難うございます。

一方で、足回りの工事などは電力会社とかなり仕事の親和性があるので、そういった部署に配属される出向者はさておき、L2以上を管理する部署に出向者が来るのは、時に、それなりに厳しいものがあった。僕の経験だと、自分の部署の長にMacアドレスの意味もわからない人間が出向してきて、その人間が全ての決裁権を持っているという状態になったことがある。

人間というのは面白いもので、自分の専門外のことは分からないから、お前たちを信用して任せる!とすぐにハンコを押すパターンと、よく分からないから俺にわかるまで説明しろとなるパターンがある。

後者は本当に最悪で、昔、ラック工事からサーバのラッキングまでを家の建設に例えた資料をみたことがある。

「ラック工事は建設で言うところの土台工事です。」

雇われるという働き方をしている以上、自分の専門外の仕事をすることも多くあるだろうが、そのときに専門家の労力を、無知が奪うことなく、器量や度量を見せて欲しいものである。

デジタル庁の民間登用も本当に素晴らしいことだと思うので、志ある、優秀な方々がダイナミックに働けるよう、決裁権者には賢明な働きをして欲しいなと、ふと、散歩しながら昔のことを思った。